「成長は負の感情や出来事と向き合った先にやってくる」
「子はそれぞれに合った方法とペースで成長していく」
今回はこんなことをお伝えする記事です。
- 子どもの発達に不安がある人
- 漢字や英単語の暗記・書字が苦手なお子さんを持つ人
現在は中学校の普通級に通うわが息子。
苦手なことが多々ありますが、その分成長の感動を大きく味わえるという伸びしろたっぷりな愛息子です。
息子の代表的な困りごととの一つが、字を覚える&書くのが圧倒的に苦手ということ。
小さいときから指先の細かい動作が苦手で、箸を持つことや顔体を洗うことがなかなか上手にできませんでした。
中学生になった現在も若干ぎこちなさは残り、ひらがなメインの書字はなんとか読める、というレベル。「黒板をノートに移す」のは本人に取って苦痛の作業です。
またワーキングメモリが極端に低いため、「好きだ」は「like」だよと教えた次の瞬間に忘れてしまいます。「ディスグラフィア」(書字表出不全)という症状なのかも知れません。
自分から進んで勉強するようになってほしいけどなかなか難しいため、チャレンジタッチを小学生の頃からやっています。
勉強をどうやったらいいかわからない息子にとっては、やっていると安心できるとのこと。
しかし暗記項目はやはり各自で努力しないといけないし、定期テストは本人も心配な様子です。
息子の場合、やはりどう勉強するかという勉強の仕方を教えていく必要はあると考えます。
私自身は中学までは勉強ができる方で、暗記も比較的得意。誰に言われるまでもなく自分で勉強していたタイプでした。
中学までの勉強ができたとは言え、高校・大学では自分以上のレベルの子がごまんといることを思い知らされ、就職活動はボロボロ。社会に出てからも上手く立ち回るタイプではなかったし、とりわけ仕事ができたわけでもありません。
大した取り柄でもないやと感じていましたが、私のこの学力は息子の勉強の伴奏をするために授かったのだと、ここ数年でようやく意味を感じるようになりました。
今回はそんな字を書くことが苦手な息子と私が、中学での学習の困りごとに対してとった対策と、その対策を通しての息子の成長の記録を記したものです。
発達に心配がある子も超スモールステップで学べる「天神」
成長記①英語補習での小テスト
英語の成績が壊滅的な息子が、中学校で補習を受けることになりました。
その補習の中での小テストをなんとか3回めでクリアし、補習免除となるまでのお話です。
事の始まり
中学入学後の5月のある日、英語の授業で文章を書く小テストで◯点をとり、補習となりました。
「今日英語の補習で帰りが遅くなったんだ。全部書けるようにになるまでずっと補習続くんだって」
第一回目補習後の息子の申告により、親の私は英語の補習があったことと補習結果を知ります。
補習内容は「アルファベット26字、大文字小文字合わせて全52文字を覚える」というもの。
その第一回目の補修結果が12点/52点でした。
全問正解するまで補習は次回も参加必須となります。
これは放っておいたら延々と補習が続きそう。
補習が続けば続くほど、これから本格始動する部活動も加わるため、息子にとって何より大切な自由時間がさらに減ることになります。
本人も危機感があるようで、「合格できるように家で練習するよ」といいます。
小学校のときは支援級の先生が交流級の授業での困りごとをサポートしてくれることもありました。
しかし支援級に所属していない中学では、もう小学校の時のようなフォローもない。
中学での普通級での入学を決める際に、私は小学校のとき以上に勉強をサポートする覚悟はしていました。
息子に少しでも中学校を前向きに過ごしてほしい。
かくして息子と一緒に対策を取ることになります。
補習テスト合格への対策
息子と相談し同意を得たうえで、以下のやり方でアルファベットの練習をしました。
- 声に出して言いながら書いて覚える
→聴覚と視覚をセットにして覚える - 夜のお風呂後、寝る前、朝の時間を使って反復練習する
→一回の書く回数よりも、勉強する回数を増やす
→寝る直前に覚えたことは睡眠中に整理されることを利用する
→起床後すぐに覚えたかチェックすると定着しやすいかも(推測)
面倒でも「声に出しながら(読みながら)」覚えることと、一度に同じ字を一回の学習につき10回書くよりも、学習回数を増やす戦法を取りました。
加えて、寝る直前には電子メモパッドで書く、という睡眠学習?も取り入れてみます。
覚えづらいアルファベットは、連想して思い出せるように下記のようにポイントを教えます。
- 「N」は左側に山がくるよ(よく鏡文字になるので)
- 小文字の「p」は大文字と同じ向きに丸みが出て、棒が下にはみ出るんだよ。「q」はその反対向きだよ。
- 小文字「r」は噴水の水みたいなイメージ
- 「h」は「n」と似ているけど、棒が罫線2個分で上に長い
- 「u」は「n」をひっくり返した形
- 小文字「k」は、右側の斜めに書く線は、罫線ひと幅ぶんで書くよ
テスト用紙には英語の罫線が引いてあり形をかなり細かく採点されるため、指導も細かめになりました。
時間にすると一回につき5~10分ほどの練習でしたが、時間よりも回数で勝負に挑みました。
▼気軽に書けてボタン一つで消せる!メモ書きやお絵描きに一台あると便利です。
結果
3回めの補習で満点の52点をとり見事合格、次回以降の補習を免除されました。
「がんばった甲斐があったね!」「やればできるじゃん!」とたくさん褒めました。
2回めの補習では34点。
2回目の補習を迎える前はまだ本人の自信がなく「まだ合格無理かもしれない」といっていたので、「前回の2倍の点数を取れてる。ちゃんと成果は出してるんだよ、すごいんだよ」
と自信を無くさないように、褒めることを意識しました。
補習は数日おきの開催だったので、丸暗記に2週間くらいはかかっています。
ほんの第一関門にすぎませんが、本人も「これで補習と勉強から開放されるー」とスッキリした顔をしていました。
成長記②漢字小テスト
息子の中学では毎週一回、漢字の小テストがあります。
毎回0点を取ってくる息子。
ずっと0点だと何にも努力してない感じで、流石にまずいんじゃない?ということで、
「0点だけは回避しよう」
そういうレベル感で漢字練習に取り組んだ記録です。
対策のきっかけ
息子の中学校の漢字の小テストは毎週20問、週初めに行われます。
英語の補習対策をし始めて間もない頃、息子の部屋に入ったときに、0点の小テストが2枚散乱していることに気づきました(基本プリント類は整理できずぐちゃぐちゃに置いてある)。
ちょうどその頃学校の教育課程の説明会があり、「国語は漢字の小テストも評価に反映される」というのを聞いたばかり。
毎回0点はさすがにやばい。苦手にしろ多少は努力した結果を残したほうが、内申点にも息子の精神衛生上的にも良いのでは。
親として勉強に口を挟みすぎだろうかという疑念も湧きます。
しかし何も対策を提案しない場合、以下の未来が予想されます。
父親にテストがばれ「テストの成績が上がるまでゲーム禁止。ひたすら書いて練習しろ」と大事になり息子が泣き、家の雰囲気が悪くなる。
受験できる高校の選択肢がかなり狭まり、受験時に「もっとやっておけばよかった」という後悔。
対策
上記のような私が懸念していることと予想される未来を息子に話したうえで、ハードルを下げたスモールステップの対策を提案しました。
20問全部覚えろと言うのは息子にとってはハードルが高すぎるのは明らかだったので、勉強や学校自体を投げ出してしまうのを防ぐためです。
漢字小テストの対策方法は以下のようにしました。基本的にはアルファベットの暗記と同じです。
- 出題範囲の漢字ドリルを一通り埋める(声に出しながら)
- 比較的画数が少なく覚えやすそうな漢字3~4つに絞って集中して3回書く(声に出しながら)
- 夕方または夜、寝る前、起床後に短時間(5分くらい)の反復練習をする
- 慣れてきたらノートにテスト形式にして書いてみる
- 余裕があれば覚える漢字を一つ増やす。無理なら増やさない
「全部完璧に覚えるのはハードルが高すぎると思うけど、20個のうち3個くらいは頑張ってみないか」
と提案すると、意外とすんなり受け入れてくれました。
夕方は小学校からの習慣であるチャレンジタッチをやっているので、本人のコンディションや英語の補習とバランス(量)を微妙に調整しながら、あまり無理しすぎない程度に気をつけました。
このとき書き順についてはこだわっていません。
また「今日も頑張ったね」という言葉がけと、睡眠時間を削ることはしないようにしました。
結果
第3回目の小テストでは20問中5点。
0点回避に成功しました。
「すごい。がんばった。練習した成果がちゃんとでたね」
これまたたくさん褒めました。
しかしこの小テストを持ち帰る頃、悲しい出来事が起こります。
成長記③担任先生の突然の退職と別れの手紙
息子が慕っていたクラス担任の先生が、突然の知らせで次の日に退職することになり、悲しんだ息子が先生に当てて自ら手紙を書きました。
きちんとした手紙を自らの意思で書いたのは初めてです。
退職の知らせ
第3回目の漢字小テストを持ち帰る日、息子のクラス担任の先生が突然明日の出席日を最後に退職する、というお知らせが届きました。
急遽ご事情で実家に帰らなければならなくなったとのこと。
なんとも急すぎる展開にまず唖然、そして不安がよぎります。
先生は新任1年目の若い女性の先生で、懇談会のときのたどたどしくも一人ひとりの名前を出しながら一生懸命生徒の良さを話してくれ、とても感じの良い先生でした。
息子は「先生のことは信頼しているんだ」と私に教えてくれていました。
私も授業参観でクラスの様子を見れたとき、先生によく話しかけているので「よく喋る子でごめんなさい」と申し訳なく思うと同時に、息子が心を開ける先生で良かった、と不安な中学校生活の中でも少し安心を覚えていました。
漢字テストを持ち帰ったときには、息子は半べそをかいていました。
「面白くて、他のクラスでもとても人気の先生だったんだ。」
「急にお別れになるなんて寂しすぎる。」
私も息子と一緒に共感しました。
息子自ら手紙を書く
夜全てが終わりあとは寝るだけになった時。
「先生に手紙を書こうかな」と私に許可を求めるように言う息子。
「でもちゃんと書けるかな。心配」
私は「そうだね。良いと思うよ。やってみなよ」と手紙セットを渡します。
「漢字をスマホで調べていいかな」
9時以降はスマホ使用禁止ルールを気にしての問いかけですが、もちろんOKを出しました。
そしてしばらく静かに手紙を書き出します。
結果
15分くらいでしょうか。
「ちゃんと描けてるかどうかチェックしてほしい」
というので、読んでみます。
手紙を書こうとすること自体がまず滅多になく、あったのは幼稚園の仲良かった子との別れのときの私の代筆と、プール教室の先生への1文くらい。
自分で手紙を書いた。それだけで胸が熱くなっていた私。
見ると、5文程度の手紙でした。
シンプルだけど、お礼の挨拶→一緒に過ごしたときの楽しかったこと→先生にしてもらって嬉しかったこと→先生の担当教科の勉強をもっと頑張るという抱負→締めの挨拶
ととても良くまとまっていました。
お世辞にも読みやすい字ではないけれど、「遠く」などの漢字を使って読める文を書いています。
読んでいる途中で涙が出てきてしまった。
手紙を書くといった成長。
自分で漢字を調べて書くという成長。
息子の寂しさの気持ちが伝わる文。
色々込み上げてきてしまいました。
「お母さん泣かないでよ、僕まで泣いちゃうよ」
その夜、ベッドに入ると息子は声を出して泣き、そのまま眠りました。
次の日、ちゃんと手紙は渡せたのこと。お返事を書いてくれるそうです。良かったね。
まとめ:成長は負の感情を乗り越えた先にやってくる
3つの出来事を通して私が感じたのは、「成長は負の感情・出来事と向き合った先にやってくる」「その子なりの方法とペースで成長する」ということです。
英語の補習も漢字の小テストも、「自分はできなかったけど別に今支障はないし」「この子は苦手だから他のことで頑張れば良い」と諦めてしまうこともできます。
「最初からそんなに頑張らなくても」と思う方もいると思います。
しかし私は、まだ中学生活が始まったばかりの息子に、簡単に諦めるようになってほしくなかったのです。
できないからと逃げていては、ずっとできないまま。
たとえ苦手な分野でも、少しでも「やればある程度はできる」という自信をもってほしかった。
書くことに自信を持てない息子に、努力することで小さな成功体験を積んでほしかった。
結果目標に届かなかったとしても、前向きに挑戦した、という結果は無駄にならないと思います。
今回書字が苦手な息子は自ら進んで、自分で調べた漢字を織り交ぜて手紙を書きました。
きれいな字で読みやすく、までは行かなくとも、なんとか読めるレベルにまではなりつつあります。
あまり押し付けてしまっても子供にプレッシャーになってしまうけど、もし同じような悩みを持つ方がいるなら、希望は捨てないでほしいなと思います。
その子にあった工夫とペースで諦めないでなにかしら続けてれば、人より時間はかかっても結果は出ます。
「そんな簡単なことじゃない。」ほんとにそうです。
親のサポート(介入)を嫌がる子もいます。
うちの娘がいい例で、親に教えてもらうのは嫌なのだそうです。通信教材にもイライラしてしまうらしく、娘には合わなかったと判断して小学低学年でやめてしまいました。
成績は決して良い方では無いですが必要に応じて自主的に勉強しているので、助けを求めたときだけ協力して、後は本人に任せることにしています。
友達と一緒に勉強するとやる気が出るようなので、塾などの方が向いているのかも知れません。
話がそれましたが、向いている勉強方法や成長度合いは本当に人それぞれです。
それぞれに合った勉強方法を見つけて、焦ることなく成長を見守りたいです。
この記事を読んでくださった方が、少しでも前向きな気持ちになってくれたら嬉しく思います。
▼自然と正しくしっかり持てる鉛筆。小学校時代におすすめいただきました。
▼気軽に書けてボタン一つで消せる!メモ書きやお絵描きに一台あると便利です。
